👉「新幹線でもなく、飛行機でもない。 九州を縦断するもうひとつの主役――その名は桜島号。 今回は、35年にわたる桜島号の歴史と知られざる舞台裏を、じっくり解説します。」
(導入)
桜島号。 名前を聞いただけで、鹿児島のシンボル「桜島」を思い浮かべる方も多いでしょう。 でも実は――このバス、桜島のふもとまでは行きません。 福岡市と鹿児島市、九州自動車道を約300kmかけて結ぶ高速バス路線。 今では九州の人々にとって、おなじみの長距離移動手段となっています。
(誕生と背景)
その誕生は1990年3月22日。 当時、まだ九州新幹線は存在せず、飛行機も今ほど格安でなかった時代。 「もっと手軽に九州を移動したい」そんなニーズに応え、4社が協力してスタートしました。
参加したのは、西鉄、南国交通、林田産業交通、鹿児島交通。 福岡と鹿児島という九州最大級の都市間を結ぶため、当初は昼行6往復・夜行1往復という体制で運行を開始します。
(JR九州バスの参入と拡大)
そのわずか9ヶ月後、1990年12月にはJR九州バスが新たに参入。 このタイミングから、便数も一気に拡大し始めます。 1991年3月には昼行便が15往復まで増発。 まさに”バス版・新幹線”とも言える規模へと成長を遂げます。
当時は、高速道路網の整備が進み始めた九州。 高速バスは安さと便利さで人気を集め、一気に利用者を伸ばしていきました。
(夜行便と「水曜どうでしょう」)
昼行便だけでなく、桜島号は夜行便でも注目を集めます。 独立3列シートやスリーピングシートを備えた快適仕様。 さらに、全国的に有名になったのは、人気バラエティ『水曜どうでしょう』でのエピソードです。
出演者たちは夜行便に乗車し、車内を「動く相部屋」と例えます。 いびき、車内温度、他の乗客のマナーなどが語られ、ついには番組内で「サイテー・最悪ランキング上位」に… ところが、これが逆に話題となり、桜島号の知名度は一気に全国区に広がりました。
(会社再編と安全管理強化)
時代が進む中、運行会社も再編が進みます。 かつての林田産業交通は経営破綻を経て鹿児島交通に統合。 そして2019年、西鉄高速バスが西鉄本体に吸収合併され、福岡側の運行は西鉄1社体制となります。
この再編により、乗務員の確保、運行の柔軟性、安全管理が大幅に強化され、安定運行の基盤が整いました。
(コロナ禍の影響)
しかし、2020年には大きな転換点が訪れます。 新型コロナウイルスの影響で需要が激減し、ついに夜行便は運行終了。 以降、桜島号は昼行便のみでの運行を続けています。
現在は1日13往復体制。 福岡側は西鉄、鹿児島側は南国交通・鹿児島交通グループ・JR九州バスが担当しています。
(桜島号の今とこれから)
2025年には運行35周年を迎えました。 この間、九州新幹線の開通、格安航空の登場といった交通革命がありましたが、桜島号は今も健在。 「時間にゆとりがある人には、バス旅という選択肢がある」。 移動時間を楽しむという文化を、今も提供し続けています。
ちなみに、桜島号の魅力は価格だけではありません。 ・ゆったりした座席 ・途中のサービスエリア休憩 ・車窓からの景色 ・そして、九州のゆったり流れる空気感
こうした”旅情”こそが、桜島号の最大の魅力とも言えます。
(まとめ)
今も九州を静かに走り続ける桜島号。 それは、ただの移動手段ではなく、35年間、九州の人々の暮らしと共に歩んできた「動く歴史」なのです。
(エンディング)
👉「九州の景色を、ゆったり楽しむバスの旅――あなたも次は桜島号に乗ってみませんか?」
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